競技者のための食事レシピ集 Recipes for athletes

ジュニアアスリートからトップアスリートまで、スポーツをするすべての人を「食」で「支える」レシピ集です。スポーツ栄養学に基づいた、食事の考え方やポイント、献立・レシピを掲載しています。家庭でも作りやすい献立となっており、日頃のトレーニングをサポートすることはもちろん、試合前のコンディショニングや試合後のリカバリーまで、様々なシーンでご活用いただけるものとなっています。


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サガン鳥栖U-18(高校生)は、全寮制で選手たちが生活をともにしています。質の高い練習や筋力トレーニング、休息などを提供できる環境です。そして、栄養補給もトレーニングの一部と捉え、食事管理に力を入れています。私は毎日の食事メニューを栄養学に基づいて考案し、一人ひとりの成長を支えています。一般的な10代のアスリートは、トレーニングに加えて、学業にも時間を取られます。そのため、朝昼晩、3食きっちり食べるのは難しいかも知れません。ここでは、朝食からしっかり出来たての食事が食べられますし、昼食は寮の厨房で調理したものを学校へ配達しています。夕食は、トレーニング後すぐに食べられるように準備しています。おかずはひと皿ひと皿に盛り付けて用意。ご飯は選手がそれぞれ自分でよそいます。増量したい選手は何度もおかわりしています。普段の食事は、主菜に副菜2〜3品、栄養素もバランスよく。選手たちはよく汗をかくので、塩分に関してはそこまで過敏になる必要はありません。ドレッシングはノンオイル、揚げ物は月に1回です。そう聞くと厳しく聞こえるかも知れませんが、選手たちが好きそうなお肉や麺類などの食材を使っておいしく食べられるように工夫しています。試合前は、高糖質、低脂肪なメニューを用意しています。消化に時間がかかる脂質をなるべく避け、エネルギーに変わりやすい糖質を多くするのが狙いです。プロテインやサプリなどの栄養補助食品は、ドーピング規則に抵触する可能性があるので、必要な栄養素はすべて食事で摂るようにしています。また、間食の指導も行っています。空腹時のトレーニングは、筋肉を分解してエネルギーをつくります。筋力を減らさないためにも、おにぎりや和管理栄養士杉本未和菓子などを補給することを推奨しています。誕生日の選手にはステーキを振る舞います。みんなで食卓を囲む楽しさを感じて欲しいと思い、コロナ禍以前は鍋料理なども提供していました。制限ばかりするのではなく、メリハリが大事ですね。家庭などで、栄養価を計算しながら作るのは大変だと思います。そんな時は、彩りを意識してみてください。緑や赤、茶、白などの色が豊かな食卓は栄養バランスが良いと考えられますからね。さらに、寮ではスポーツ栄養士による栄養講習も実施しています。選手一人ひとりが大きな目標を持っているので、食事に関する意識はかなり高いです。本当は、お菓子やファストフードを食べたいはずなのに、我慢している姿はすごいな、と思っています。選手たちに良い結果が出ると、私もとても嬉しい気持ちになります。いずれはスポーツ栄養士の資格を取得して、これからも、サガン鳥栖U-18の強さを食事面でサポートしていくことが私の目標です。©SAGANDREAMSCO.,LTD.AthleteInterviewU-18teamSaganTosu[2023年3月取材]Recipesforathletes79


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